モカブラウンの鍵【完結】
――ヴヴヴヴヴヴヴ


うわ、松下さんからメールだ。

嫌な予感がしつつも、メールを開いてみる。


【近況報告しろ。再来週の日曜日空いてるか? 杉山と佐伯と俺と亜希の4人で飯でも食おう】


松下さんが自分の彼女を連れて来るなんて珍しい。

俺と奈央美が付き合いだしたことを松下さんは気づいている。


「涼太、ご飯できたよ」

「ああ」


テーブルに並べられたハンバーグからはすごくいい匂いがする。


「いい匂い」

「食べよう」


「いただきます」

「召し上がれ」


俺の「いただきます」と奈央美の「召し上がれ」はいつもペア。


この「召し上がれ」を言う瞬間の表情が好きだ。

少し頬をピンク色にして、照れているような、はにかんでいるような表情。

その顔は幼い感じがするのに、どこか女の色気が漂っている。

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