モカブラウンの鍵【完結】
「ごめんなさい。匠がバカップルオーラを出てるって、言っていたから」

「松下さん、俺たちのこと、そんな風に思ってたんですか?」

「ああ、大好きですってオーラ全開だろ」


隣に座る奈央美を見ると、目があった。

2人で「そんなことない」と目配せをした。


「バカップルオーラじゃなくて、仲良いんだろうなと思っただけですよ」


野沢さんがそう言って笑った。

その横顔を愛おしそうに見つめている松下さんが隣にいる。


うそ! そんな表情するんだ。

なんだか見ちゃいけないものを見た気がした。


松下さんはメニューを取り、テーブルの上に広げる。

女将さんに注文をして、ビールで乾杯となった。



さっきまで気がつかなかったけれど、野沢さんのグラスを持つ左手の薬指に指輪をはめている。

それは単なるプレゼントではなく、どう見ても婚約指輪だ。

何カラットかはわからないけれど、結構大きいサイズのダイヤだと思う。

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