モカブラウンの鍵【完結】
「そっか。で、ペンションの事なんだけど、予定が合うときに、一緒に現地見に行かないか?」

「いいぜ」

「現地見て、その場所にどんな感じで建てたいか教えてくれ」

パソコンデスクの上に置いておいた封筒を渡す。

ノブが中身を出し、それをじっくり眺めている。


「これ、リョウが集めたのか?」

「おう。軽井沢は自然が多いから、なるべく木々に囲まれているペンションのカタログを探してみた。参考になると思う」

「サンキュー。嫁さんと相談してみる」


嫁?


「お前、結婚してるのか?」

「うん。あ、言ってなかったな。去年の2月に」

「そうか。おめでとう。どこで知り合ったんだよ」


ノブは照れながら話し出した。

ビールを飲んでいるせいで、こんがりした肌に赤味が差している。

その赤がますます濃くなっていた。


ノブが働くイタリア料理店のお客さんで、奥さんから猛アプローチをかけられ、結果、結婚にまで至ったらしい。

奥さんは公認会計士として働いていて、ペンションの経営は2人でやっていくそうだ。

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