モカブラウンの鍵【完結】
俺が手元を見ながら笑うと「なんで笑ってるの」と聞いてくる。


「いや、指切りなんて久しぶりにしたなと思ってさ。懐かしい感じだな」

「そうだね。指切りって、年齢を重ねるとしなくなるよね」

「指切りって、いいな。たまにしようか?」

「じゃあ」と言って、絡めた指を一度外すと、また指を絡める。

「指切りする約束ね」


ワインでほんのりとピンク色になった奈央美はやけに色っぽい。

いや、艶っぽい。

絡めている小指を自分に引き寄せる。

少し傾いた体に腕を回し、抱き寄せた。

とろんとした茶色い瞳を覗き込む。

恥ずかしそうに細かく瞬きをしながら逸らそうとする瞳。

それを捕らえるように目尻に唇を当てる。

唇を離し、顔中にキスをすした。

すると、しびれを切らしたように奈央美から唇を合わせてくる。

奈央美の方へ体の重心を移動させて、ソファに横たえる。

何度も角度を変えてキスをし、奈央美をベッドへ運ぶ。


しっとりした肌、甘い声、熱い息を、自分の全てで感じながら、夜は更けていった。

< 218 / 300 >

この作品をシェア

pagetop