モカブラウンの鍵【完結】
「天気いいな」と、ノブが車を運転しながら言った。

たくさんのビルが立ち並ぶ景色が少しづつ変化をする。

建物が減り、逆に木が増えていく。

ありふれたイチョウやブナの木から白い木肌をもった細長い木、白樺が目に付くようになった。


「軽井沢って、のどかだな」

たくさんの白樺を見ながら俺が言った。


「だろ。毎日、パソコンばかりのリョウにとっては、いいリラックスになるんじゃないか?」

「休みとは言え、現地視察だからな。100パーセント、リラックスとは言えないな」

「そりゃ、そうか。俺も新しくできたレストランに行っても、やっぱり仕事ととして食べるもんな」


現地視察のために男2人で軽井沢いる俺たち。

なんだか虚しい。

ああ、この景色、奈央美と見たかったな。


「リョウ、リョウ」

「あっ?」

「あ、じゃないよ。何、間抜けな顔してるんだよ」


ノブに呼ばれて、自分がボーっとしていることに気がついた。


「してないし。そろそろ着くんじゃないか?」


それから数分、車を走らせると、古い家屋が見えてきた。

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