モカブラウンの鍵【完結】
モカブラウンと黒
「いらっしゃいませ。杉山様」

ノブが俺の前で頭を下げた。


「くるみ、杉山夫妻が到着したぞ」

奥の方から「はーい」という声が聞こえる。


「この度はご結婚おめでとうございます」

「ありがとうございます」

「では、お部屋へご案内します」

ノブの奥さんであるくるみさんの後に続いた。



奈央美と俺は3月に入籍を済ませ、夏の盆休みに結婚式を挙げる予定。

そしてこのゴールデンウィークは新婚旅行として、俺が設計したノブのペンションに泊まりに来た。


「涼太、いいペンションだね」

「だろ? どうだ、夫のことますます惚れ直した?」

「うん。とっても」


新婚である俺たちは、こんなバカップルのような会話を年がら年中している。

松下さんや姉ちゃんは呆れ返っていた。

新婚なんだから好きにさせてもらいます、というのが俺たちの考え。

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