モカブラウンの鍵【完結】
美味いコーヒーと共に、午前中の仕事は滞りなく終わった。


ブルーマウンテン、毎日、飲めたらいいのに……。


ブルーマウンテンを自分のマグカップに注ぎ、カバンから弁当を出した。

「杉山が弁当なんて珍しいな。彼女の手作りか?」


後ろから声を掛けてきたのは、営業の松下さん。

うちの事務所唯一の営業担当。松下さんは社長からの信頼が厚い。

彼が取ってくる仕事を、社長が断ったことは一度もない。


それはこの事務所にとって、どんな仕事が有益かということをしっかり理解した上で、取ってきているから。



仕事ができる松下さんは、同棲中の恋人がいるのに、何故か独身貴族を貫くらし。

33歳だし、その彼女と結婚しても可笑しくないだけどな。

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