モカブラウンの鍵【完結】
婚約
「涼太、大丈夫?」
「えっ? うん、大丈夫だよ」
助手席に座る奈央美は俺の様子をうかがっている。
去年のクリスマスにプロポーズをし、約半月が経った。
今日は奈央美の実家へ行き、ご両親に挨拶をする。
そのせいで朝から緊張していた。
奈央美には「私の親はざっくばらんな人だから、そんなに緊張しなくても大丈夫だよ」と、何度も言われている。
それは奈央美に対してだから。
娘の恋人、というか婚約者には厳しいはずだ。
その上、年下を連れてきたのとなれば、ますます厳しい状況になる気がする。
「あ、そこの信号を右に曲がって。コインパーキングがあるから」
「ああ」
奈央美のナビに従い、ウィンカーを出す……、つもりだった。
「涼太、ワイパーが」
「ああ」
雨も降っていないのにフロントガラスの上を左右に大きく動くワイパーを止め、今度はウィンカーをちゃんと出す。
信号を曲がると数メートル先にコインパーキングがあった。
そこに車を停めて、後部座席から手土産を出す。
「えっ? うん、大丈夫だよ」
助手席に座る奈央美は俺の様子をうかがっている。
去年のクリスマスにプロポーズをし、約半月が経った。
今日は奈央美の実家へ行き、ご両親に挨拶をする。
そのせいで朝から緊張していた。
奈央美には「私の親はざっくばらんな人だから、そんなに緊張しなくても大丈夫だよ」と、何度も言われている。
それは奈央美に対してだから。
娘の恋人、というか婚約者には厳しいはずだ。
その上、年下を連れてきたのとなれば、ますます厳しい状況になる気がする。
「あ、そこの信号を右に曲がって。コインパーキングがあるから」
「ああ」
奈央美のナビに従い、ウィンカーを出す……、つもりだった。
「涼太、ワイパーが」
「ああ」
雨も降っていないのにフロントガラスの上を左右に大きく動くワイパーを止め、今度はウィンカーをちゃんと出す。
信号を曲がると数メートル先にコインパーキングがあった。
そこに車を停めて、後部座席から手土産を出す。