モカブラウンの鍵【完結】
助手席から降りた奈央美が俺の前に立った。

「涼太、大丈夫だよ。多分、反対されることはないから。もし反対されても、私は涼太と結婚したい。一緒に説得しよう」

そう言いながら、俺のネクタイを直した。

「ああ。俺も奈央美と結婚したい。どんなことになっても頑張るから」

「うん。行こう」

手をつなぎながら、奈央美の実家へと向う。


「ねえ、もし高校が同じだったら、こんなふうに手つないで登下校してたかな?」と、大きな公園の横を通り過ぎると奈央美が言った。

「してたかもな。ここ、通学路だったの?」

「うん。いつも友だちと大笑いしながら歩いてた」

「へえ。制服姿の奈央美、かわいかったんだろうな。よく告白されてた?」

「全然」


それは絶対に嘘だ。

今の奈央美を幼くしたら、すごくかわいいはず。

そんな子を男がほっとくはずがない。


「そんなことないだろ。奈央美はモテた部類だよな」

「それを言うなら涼太だって。宏実さんから聞いたよ」

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