モカブラウンの鍵【完結】
姉ちゃんが出てきて、ひやっとする。

変なことを言ったんじゃないんだろうか?


「涼太に告白するために、女の子が家の前に週一の割合で立ってたって」

「週一は大げさだよ。俺、バスケ部だったから。サッカー部とかバスケ部とかって、所属してるだけで無駄に告白されることがあっただけで」

「ふーん。つまりモテてたんだ。宏実さんもそう言ってたし」


弁明しようとしたことが逆効果になった。

姉ちゃん、変なことを奈央美に言うなよ。


「モテても別にいいけど。浮気は絶対に許さないから!」

「しないよ! 浮気なんて。俺、浮気したことなんてないから。前にも言ったし」

「まあ、それはこれから態度で示してくれればいいです」

「わかってます」


手をつないだままの微妙な喧嘩。

こういう時間が緊張を少し解してくれた。

< 254 / 300 >

この作品をシェア

pagetop