モカブラウンの鍵【完結】
どうしよう。お義父さんが出てこなかったら。

それとか顔だけ見て猛反対とかされたら。

和らいでいたはずの緊張は、また復活していた。


緊張でガチガチに固まっていると、階段を下りてくる足音が聞こえてくる。


「いやいや、涼太君、待たせてすまないね」

リビングに現れたお義父さんは将棋を両手に持っていた。

「あ、いえ。あの、初めまして。杉山涼太です」

「ああ、奈央美から全部聞いているよ。そんな固くならなくていいから。母さん、お茶はまだか?」

お義父さんはキッチンに向かって声をかけた。

キッチンの方から「すぐに持っていきますよ」と言う声が返ってきた。

そして俺の前に座り、将棋の盤をテーブルの下に置いた。


奈央美が言っていた通り、お義父さんは気さくな感じがする。

とりあえず、俺に対する敵意のようなものは微塵も感じないし。

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