モカブラウンの鍵【完結】
「みんな座ってて。もう少しで夕飯できるから」と言って、奈央美はまたキッチンへ戻っていった。

そのあとを追うように晴香さんもキッチンへ行く。

キッチンから女性の楽しいそうな会話が溢れてきた。


「博史、一局どうだ?」

お義父さんは詰将棋を1人やっていて、博史さんを見ると嬉しそうに手招きをする。

「父さん、今からじゃ、夕飯ができあがる前には終わらないよ。夕飯のあとな」と言って、博史さんはお義父さんの横にある1人用のソファに座った。

「そうだな。博史、涼太君もなかなか強いぞ」

俺はさっき座っていた場所に座り、駒を片付けるのを手伝う。

「へえ、涼太君も将棋やるんだ」

「まあ、父や祖父の相手くらいですよ。さっきもお義父さんに穴熊囲いで負けました」

「ああ、それじゃ負けるよ。僕だって勝てないよ」


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