モカブラウンの鍵【完結】
朝起きると腕の中には奈央美がいなかった。


着替えてリビングへ行くと、奈央美はお義母さんとキッチンに並んでいた。

「おはようございます」

「涼太さん、おはよう。よく眠れた?」

鍋をかき混ぜていたお義母さんが振り向いて言った。

奈央美は横で微笑んでいる。


「はい。何か手伝いましょうか?」

「大丈夫よ。リビングでゆっくりしてて」

「はい」

ソファに座っていると、和室からお義父さんが出てきた。


「涼太君、おはよう」

「おはようございます」

お義父さんは若干ねむそうな感じだけれど、二日酔いではなさそうでホッとした。

「涼太君、私はどうやって和室へ行ったんだ?」

記憶をなくすのも奈央美と一緒だ。

「イスに座ったまま眠っていたので、僕が運びました」

「そうだったのか。すまない」

「いいえ。シャワーでも浴びてきたらどうですか? スッキリしますよ」

「ああ、そうするよ」と言って、お義父さんはゆっくりとした足取りでリビングを出て行った。

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