モカブラウンの鍵【完結】
「いかがですか?」

沢田さんが俺の横に立った。

「妻のドレスが決まってから決めます」

「そうですか。奥様と宏実さんは本当に姉妹のように仲がよろしいんですね」

「ええ、気が合うみたいで」

姉ちゃんもウェディングドレスの下見を一緒にしたのは聞いているけど、変なことしてないよな。言ってないよな。

小さな不安が出てきたけれど、さすがに自分の職場なら馬鹿なこともしていないだろう。

「私も宏実さんには色々とお世話になっていて」

嘘! どう見ても、姉ちゃんが沢田さんに迷惑を掛けている気がする。

「いえ、沢田さんみたいな人が姉と仲良くしてくれているのは、とても嬉しいです。これからも姉のことをよろしくお願いします」

「こちらこそ。そろそろ、奥様のお着替えが終わるころですよ」

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