モカブラウンの鍵【完結】
フィッティングルームでタキシードに着替える。

一応、大きな鏡の前で見てみた。馬子にも衣装だな。似合っているのかすらわからない。

カーテンが開くと、奈央美がにこにこしながらこっちを見ていた。

「うん。すごく似合ってるよ」

「本当に? 普段着なれないから、さっぱり分からない」

「大丈夫、妻の私が言ってるんだから」

「なら、安心してこれにします」


スタッフの人に写真を撮ってもらって、奈央美は当日のヘアーメイクの相談をしていた。

俺は隣で聞いていたが、さっぱり理解できなかった。

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