モカブラウンの鍵【完結】
「結構、時間が掛ったな」

「そうだね」

日が暮れたころ、結婚式場を出た。手を繋ぎながら駐車場へ向かう。

「腹減ったな。少し早いけど、どこかで夕飯食べてから帰るか」

「うん」

車の中で、奈央美はさっき撮ってもらった写真を眺めている。

これだけ嬉しそうにしているなら、式を挙げるのもいいもんだなと思った。

いつか家族が増えた時、子供に写真を見せてあげたいと、奈央美の横顔を見ながら考えていた。


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