モカブラウンの鍵【完結】
ワインよりビール
「ダメだわ……。全然、浮かばない……」

「ですね……」

会議室のホワイトボードや会議用の大きなテーブルには、俺や佐伯さんが描いたデザイン画や図面が並べられていた。


来週は『natural jewelry』とのデザイン会議があり、そこで俺たちのデザインプランを話すことになっている。


時間もたいしてないのに、俺たちは全く良い案がなかった。

いくつものデザインが目の前に広がっているのに自信作が1つもない。

首までサポートしてくれるキャスター付きの椅子に体を沈めて、僕も佐伯さんも無言でテーブルを見つめていた。

近くにある紙にデザイン画を軽く描いては「ダメ」と言っては、近くのゴミ箱に捨てる。

気がつけば、俺たちが描いたデザインの残骸でいっぱいになっていた。

< 43 / 300 >

この作品をシェア

pagetop