モカブラウンの鍵【完結】
顔を上に上げ、軽く伸びをする。耳に奥で骨がゴキゴキとなった。

視界に広がる蛍光灯が目に染みる。


「コーヒーでも入れますか」


もう何杯目か分からないコーヒーをカップに注ぐ。

コーヒーを飲みすぎて、口の中はコーヒーの味以外しない。

それが当たり前になっていた。


「杉山、ここまで粘っても、今のところは良いデザインが出そうもないね、お互い。今日はここで切り上げましょう」

「そうですね。一旦、違う業務をして、少し頭を切り替えた方がいいかもしれませんね」

「ええ」

数時間前、会議室に入った時とは全く別の顔をしている俺たち。

アイディアをひねり出そうとして、脳みそにたくさんの血液を送り、それが逆効果となって今は頭が重くて仕方がない。


佐伯さんはテーブルに散らばるデザイン画を、俺はホワイトボードに貼られた図面を片付けていた。

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