モカブラウンの鍵【完結】
「何ですか?」

「何で、部屋がツインなのよ」

「ああ、シングルが空いてなかったんです。仕方なくツインに。

俺は佐伯さんが落ち着いたら帰るつもりだったんですけどね。

さっき話したような状況だったんで、俺もここに泊まったんです」


「そう……」


事情や状況が大体、飲み込めたみたいだ。

そのおかげか、シーツを下ろしバリケードを解いた。


「あの……」

「はい? まだ、何かありますか?」


寝不足で、話すのが面倒くさい。

投げやりな話し方しかできなくなる。



「あの……、その……、ぁりがとっ」


 語尾が小さくても『ありがとう』はちゃんと聞こえた。



「ふぅっ……。どういたしまして」


1回、赤くなった顔が落ち着いて収まったのに、佐伯さんはまた顔を赤くする。


お礼言われただけで、顔赤くするって……、何だ?

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