モカブラウンの鍵【完結】
「自動ドアではなく、あえて手動のドアにしました。
人は手に力を入れると気合が入ります。
ドアを自分の力で開けることで男性のお客様に気合を入れてもらうんです。
ただ、中が見えるようなガラスがドアに付いていると、店員の方と目が合って微笑まれたり、強ばった顔が見られたりしてしまう。
そういう些細なことが男の気合を鈍らせてしまうので、あえてガラスは付けていません」
中原さんは俺の説明が終わり、プレゼン資料をもう一度見直した。
顔を上げ、俺と佐伯さんの顔を見る。
胃が膨張しているかも。
風船のように膨らんで痛い。
緊張しすぎだろ。
「面白いです。杉山さんが言ったこと、私も少しわかります。多分、女性なら初めて行く美容院に対して、そういう気合を入れますね。
確かに自動ドアより、手動のドアを開ける方が気合が入りますし。このデザインで勧めてください」
やった、やったよ。
「ありがとうございます。これからもどうぞよろしくお願いします」
勢いよく立ち上がり、中原さんに頭を下げた。
横で佐伯さんが動く気配がする。
横目で見ると、佐伯さんの頭も俺と同じ位置にあった。
人は手に力を入れると気合が入ります。
ドアを自分の力で開けることで男性のお客様に気合を入れてもらうんです。
ただ、中が見えるようなガラスがドアに付いていると、店員の方と目が合って微笑まれたり、強ばった顔が見られたりしてしまう。
そういう些細なことが男の気合を鈍らせてしまうので、あえてガラスは付けていません」
中原さんは俺の説明が終わり、プレゼン資料をもう一度見直した。
顔を上げ、俺と佐伯さんの顔を見る。
胃が膨張しているかも。
風船のように膨らんで痛い。
緊張しすぎだろ。
「面白いです。杉山さんが言ったこと、私も少しわかります。多分、女性なら初めて行く美容院に対して、そういう気合を入れますね。
確かに自動ドアより、手動のドアを開ける方が気合が入りますし。このデザインで勧めてください」
やった、やったよ。
「ありがとうございます。これからもどうぞよろしくお願いします」
勢いよく立ち上がり、中原さんに頭を下げた。
横で佐伯さんが動く気配がする。
横目で見ると、佐伯さんの頭も俺と同じ位置にあった。