モカブラウンの鍵【完結】
「もう17時か。さて、帰るか」

「松下さん、今日は定時ですか?」

「ああ、彼女とデート。杉山もデートしてくれるような相手、見つけろよ」

「余計なお世話ですよ」


松下さんは俺の頭を片手でグシャグシャにかき混ぜて事務所を出て行った。


「杉山」

「はい」


机の周りを片付けている佐伯さんが声を掛けてきた。


「飲みに行かない? お疲れ様と、これからも頑張りましょうってことで」

「はい。行きましょう」


自分のデスクに戻り、『natural jewelry』関係の書類をしまう。

パソコンの電源を落とし、ドアの前で待つ佐伯さんの所へ向かった。

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