モカブラウンの鍵【完結】
「どうしたんでしゅか? 杉山、顔、赤い~」と言いながら、俺の脇腹を突っついた。
「うわ、ちょっと。危ないから」
「ああ、脇腹、弱いんだ」
佐伯さんは楽しそうに、脇腹を攻撃してくる。
昔から脇腹をくすぐられるのが苦手で、子供の頃は友だちによくやられていた。
さすがに、この歳になれば脇腹を突然攻撃するようなことは起きない。
ああ、本当に止めろ! 仕方ない。
俺は佐伯さんの体から支えている腕を離し、両手を掴んで向き合う。
「遊んでないで、帰りましょう。夜風で手も冷えたみたいだし」
目を見ながら話すと、小さないたずらが親にバレて体を小さくしている子供みたいな顔になった。
この人は本当に年上なのだろうか。
佐伯さんと接する時間が増えるたび思う。
秋というより冬と言った方が正しい10月の終わり。
昼間は温かさが残っていても、夜風は冷たい。
アルコールで体が火照っているせいで、ますます冷たく感じる。
佐伯さんの指先も手のひらも冷たくなっていた。
「歩けますか?」
「うん」
手を離して、さっきと同じように肩を貸そうかと思った。
でも、佐伯さんの一言で変わる。
「杉山の手、温かい」
手を繋いで帰ろう。
右手に2人分のカバンを持って、左手は佐伯さんの手を握った。
おぼつかない足取りであっても、自力で歩いてくれいる。
「うわ、ちょっと。危ないから」
「ああ、脇腹、弱いんだ」
佐伯さんは楽しそうに、脇腹を攻撃してくる。
昔から脇腹をくすぐられるのが苦手で、子供の頃は友だちによくやられていた。
さすがに、この歳になれば脇腹を突然攻撃するようなことは起きない。
ああ、本当に止めろ! 仕方ない。
俺は佐伯さんの体から支えている腕を離し、両手を掴んで向き合う。
「遊んでないで、帰りましょう。夜風で手も冷えたみたいだし」
目を見ながら話すと、小さないたずらが親にバレて体を小さくしている子供みたいな顔になった。
この人は本当に年上なのだろうか。
佐伯さんと接する時間が増えるたび思う。
秋というより冬と言った方が正しい10月の終わり。
昼間は温かさが残っていても、夜風は冷たい。
アルコールで体が火照っているせいで、ますます冷たく感じる。
佐伯さんの指先も手のひらも冷たくなっていた。
「歩けますか?」
「うん」
手を離して、さっきと同じように肩を貸そうかと思った。
でも、佐伯さんの一言で変わる。
「杉山の手、温かい」
手を繋いで帰ろう。
右手に2人分のカバンを持って、左手は佐伯さんの手を握った。
おぼつかない足取りであっても、自力で歩いてくれいる。