モカブラウンの鍵【完結】
ワイシャツを握る手を包み、首と枕の下に腕を入れた。
「好きなんですよ、俺。佐伯さんのことが好きです。だから、教えてください。佐伯さんが苦しんでいる理由を。俺、力になります。年下で頼りないかもしれないけど」
この告白は佐伯さんには届いていない。
それでいい、今は。
いつか、ちゃんと言いますから。
これは勝手な予行練習なんで。
胸元にあるワイシャツを握る手を見て、ふと思った。
きっと、俺の方だ。
松下さんが言っていた、パー1つ分の距離。
それを縮めたのは俺だ。
いつか佐伯さんもパー1つ分を縮めてほしい。
すぐじゃなくていいから。
気長に考えて、とりあえずはパーからグーにならないかな。
眠る佐伯さんの手はワイシャツから離れることはなかった。
酔っ払うほどではないにしろ、ビールを飲んでいるせいで突然の睡魔に襲われる。
もう少し寝顔を眺めていたかったけれど、重い瞼をゆっくり閉じた。
「好きなんですよ、俺。佐伯さんのことが好きです。だから、教えてください。佐伯さんが苦しんでいる理由を。俺、力になります。年下で頼りないかもしれないけど」
この告白は佐伯さんには届いていない。
それでいい、今は。
いつか、ちゃんと言いますから。
これは勝手な予行練習なんで。
胸元にあるワイシャツを握る手を見て、ふと思った。
きっと、俺の方だ。
松下さんが言っていた、パー1つ分の距離。
それを縮めたのは俺だ。
いつか佐伯さんもパー1つ分を縮めてほしい。
すぐじゃなくていいから。
気長に考えて、とりあえずはパーからグーにならないかな。
眠る佐伯さんの手はワイシャツから離れることはなかった。
酔っ払うほどではないにしろ、ビールを飲んでいるせいで突然の睡魔に襲われる。
もう少し寝顔を眺めていたかったけれど、重い瞼をゆっくり閉じた。