モカブラウンの鍵【完結】
俺はパーティションの反対側に出た。

アイボリーのロータイプのソファとローテーブル。

高さが低めのオーディオラックにはテレビとDVD、CDがあった。

本棚やパソコン用のディスクも低めものが置かれている。

床にはセピア色のラグが敷いてあった。


狭い部屋を広く見せるためのコツ、使っているな。

私生活にも仕事で得た知識を使う。佐伯さんらしい。


ソファに座り、本棚の方へ目を向けた。

本棚には所々、空いているスペースがあった。

デザインのためにしている感じはない。そこにあったものを片付けた感じだった。

それはオーディオラックも同じで。

模様替えか引っ越しでもするのかな。


「杉山、顔とか洗うなら洗面所どうぞ」

「ありがとうございます」


立ち上がると、ざっくりと編まれた白いニットのカーディガンに、ダークブルーのスキニーデニムという姿の佐伯さんがいた。


足、細い。

スタイルいいし。

職場ではパンツスーツが多い佐伯さん。

入社してから職場の先輩としてしか認識していなかったから、下心を含んだ目で見たことがない。

それが意識した途端これだ。

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