モカブラウンの鍵【完結】
「姉弟、仲がいいのね」

「佐伯さんは兄弟姉妹(きょうだい)いるんですか?」

「うん。兄が1人」


何か、わかる。

佐伯さんって、守ってあげたい系なんだよな。

妹だからか。


「仲いいんですか?」

「仲いい方だと思うよ。8個も上だからね。喧嘩にもならないしね」


そうなんだ。

やっぱり、付き合うなら年上の方がいいのかな。


「あ、ご飯お替りする?」と空になったお茶碗を見て、佐伯さんが言った。

「お言葉に甘えて、お願いします」


お茶碗を受け取り、キッチンの中に入る佐伯さんをぼーっと眺めていた。

結婚したら、毎朝こんな感じなんだよな。いいかも。

「あなた」って、呼んでくれたりするのかな。

ネクタイ直してくれたり、いってきますのキスとか。

1人、勝手な妄想を繰り広げていた。


そして「俺、キモイ」と、本気で思った。

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