モカブラウンの鍵【完結】
「どうしたの? 大丈夫?」

「えっ、ああ、大丈夫ですよ」


お茶碗を受け取り、真面目にご飯を食べることにした。

朝ごはんが食べ終わり、食器洗いだけ手伝おうとしたら、佐伯さんに止められる。

その上、背中を押してリビングへ戻された。



「ごちそうさまでした。じゃ、俺はこれで」


玄関に立ち、佐伯さんが俺のコートを手渡す。


「うん。昨日は、というか、昨日もありがとう。気を付けてね」

「はい。失礼します」


ドアを開けて、佐伯さんの方を見ると、軽く手を振ってくれた。

思わず、こっちも手を振り返す。


ドアをゆっくり閉めると、内側からガチャっと鍵をしめる音が聞こえた。

この音は微妙に切ない気持ちになる。

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