モカブラウンの鍵【完結】
「杉山、自分でできるから。手、冷えちゃったね」
「すぐ温かくなりますよ」
タオルごと俺の手を握り、頬から離し、もう片手でタオルを抜き取った。
佐伯さんはタオルをボウルの中に入れて、冷たくなった俺の手を温めるように両手で包んだ。
「さっきは助けてくれてありがとう。杉山が助けてくれなかったらどうなってたんだろう」
「そんなことは考えなくていいんですよ。忘れましょう」
「うん」と言って、テーブルの上に置いてある携帯の方に視線が動く。
佐伯さんは「ごめんなさい。さっき、携帯、投げちゃったの」と申し訳なさそうに言った。
「ああ、大丈夫ですよ。さっき、確認したら壊れてなかったんで。それにガラケーは丈夫ですから。だからスマホには変えられないんですよ」
そう言うと、佐伯さんが少し笑ってくれた。
そんな小さなことで、ほっとする。今の状況では特に。
――ヴヴヴヴヴヴヴ
「ね、大丈夫でしょ」と、テーブルの上で数ミリずつ動く携帯を手に取って言った。
「ちょっと、すみません」
佐伯さんは軽く頷いてくれた。
「すぐ温かくなりますよ」
タオルごと俺の手を握り、頬から離し、もう片手でタオルを抜き取った。
佐伯さんはタオルをボウルの中に入れて、冷たくなった俺の手を温めるように両手で包んだ。
「さっきは助けてくれてありがとう。杉山が助けてくれなかったらどうなってたんだろう」
「そんなことは考えなくていいんですよ。忘れましょう」
「うん」と言って、テーブルの上に置いてある携帯の方に視線が動く。
佐伯さんは「ごめんなさい。さっき、携帯、投げちゃったの」と申し訳なさそうに言った。
「ああ、大丈夫ですよ。さっき、確認したら壊れてなかったんで。それにガラケーは丈夫ですから。だからスマホには変えられないんですよ」
そう言うと、佐伯さんが少し笑ってくれた。
そんな小さなことで、ほっとする。今の状況では特に。
――ヴヴヴヴヴヴヴ
「ね、大丈夫でしょ」と、テーブルの上で数ミリずつ動く携帯を手に取って言った。
「ちょっと、すみません」
佐伯さんは軽く頷いてくれた。