モカブラウンの鍵【完結】
「姉ちゃん、俺の職場の先輩も誘っていい?」

『もしかして、今、1人じゃないの?』

「うん」

『それって、この前、酔っ払った、あの美人の先輩?』

「ああ。そうだけど」

『へえ。あんた、やるじゃん』

「なにがだよ」

『だって、今、10時半だよ。こんな時間帯に一緒にいるなんて、ねえ』


何だよ、その含みのある言い方。

絶対に顔がニヤついているに決まってる。


「変なこと想像するなよ」

『隠さなくてもいいわよ』

「姉ちゃんの想像、全部、間違ってるから。で、いいよね」

『いいわよ。もちろん。あと、今日、そっち泊まるから』


携帯を切り、溜息をついた。

姉ちゃんと話すと疲れる。

佐伯さんにくだらないこと言わないといいんだけど。

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