モカブラウンの鍵【完結】
「荷物、まとめてください。あと、これ」


あのボタンが入った紙袋を渡すと、佐伯さんが『え?』という顔をした。


「捨てたい服、これに入れてください。捨てておきますから。言っておきますけど、ここで遠慮はなしです」


絶対に断るだろうと思って、先手を打った。


「わかった。ありがとう。今日だけは、杉山の言葉に全部甘えることする。いいかな?」

「そうしてください」


今日だけじゃなくて、ずっと甘えてください。それが今の気持ち。

佐伯さんは紙袋を持ってパーティションの裏に入り、荷物をまとめ始めた。

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