モカブラウンの鍵【完結】
その間、姉ちゃんにメールで、佐伯さんのことを軽く話しておいた。

襲われそうになったとはハッキリ書けず、元カレとのいざこざがあったと濁すかたちで。

返ってきたメールには【そう。彼氏関係の話はしないから。夕飯お鍋がいい。あと、あんた、佐伯さんのこと好きでしょ?】と書かれていた。


なんだよ、このメール。脈絡がない。

どうやって返信すればいいんだよ。


【佐伯さんのことはそうしてくれると助かる。何鍋にするかは、こっちで決めるから。好きで悪いかよ!】


脈絡のないメールに返信をすると、こっちまで脈絡のないメールになる。

いい歳の男が姉に、なんてメールを送ってるだろう。


携帯をカバンにしまい、マグカップやボウルを持って、キッチンへ行った。

食器類を洗い、水切りカゴに入れる。

ついでに、ガスの元栓がしまっているかを確認する。

濡れたハンドタオルは洗面所にあるランドリーボックスに入れておいた。

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