モカブラウンの鍵【完結】
俺は自分の部屋に行き、着替えを持って軽くシャワーを浴びる。

髪をバスタオルで拭きながら、リビングへ行くと、佐伯さんは鼻歌を歌っていた。

あ、今朝、料理しながら歌っていたやつだ。


「その鼻歌、なんですか? なんかCMとかで聞いたことあるような気がするんですけど」

「ああ、ショパンの『雨だれ』。今、お菓子のCMで使っているかな」

「もしかして、チョコレートとクッキーのお菓子の?」

「そう、それ」

「好きなんですか? クラシック?」


ソファに座る佐伯さんの隣に腰を下ろす。


「うん。中学生くらいまで、ピアノ習ってたから」

「ピアノ弾けるんですか?」

「ちょっと弾けるだけ」

「へえ。あ、お昼どうします。作るのも面倒だし、ピザでも頼みましょうか?」

「そうだね」


ネットでモッツァレラチーズとトマトのピザを頼み、それを食べながらDVDを観た。

佐伯さんはラブストーリー系の映画よりファンタジー系やアクション系が好きみたいだった。

俺と好みが一緒で嬉しく思ってしまう。


なんか俺、初恋をしている気分だ。

小学生や中学生じゃないのに。

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