ゴール下の彼女
姿勢をピンと正して「はい」と返事をする。
息を吐き出して教室に一歩入る。
視線が突き刺さる。
こんな時期にかよって、顔してる。
中学3年生の春、五月。
そりゃ…。まぁ、そうなんだけど。
この学校にはクラス替えがないらしい。
つまりは、孤立する、ということ。
元からの団結力には敵わないからだ。
「さぁ、自己紹介をお願いします、茨茅夜さん」
――ぁ、クイズはないんだ。
一歩前に踏み出す。
突き刺さる視線、からだが熱くなる。
恥ずかしくてからだが熱をおびる。
「茨茅夜…弥杞です…っぇ、えと、しゅ、趣味は、料理で…バスケもすきです…っ。す、好きな教科は……ぁ、っ…と、美術です…よっ、よろしくお願いしますっ!」
……恥ずかしい。