ゴール下の彼女


男子の声は女子の声を圧迫していて、聞こえない。

だから女子の顔が歪んでいく。

――怒りの顔なんて、見えなかったんだ。

――だんだんと女子が居なくなったなんてしらなかった。

――これは聞こえなかった私の耳のせいですか。

スッと空気が軽くなったのを感じた私が顔をあげると、人が少ないときに話しかけようとしてくれているのか女子が居なかった。

男子のにおいがする。

そんなことを男子は気にせず質問を投げ掛ける。

男子内で相談して、代表一人が質問することにしたみたい。

それにゆっくり考え込んでヘラッと笑顔を作って答える。

――この行為は女子の目にどう映っていたか。

――男子とは仲良く喋る女子。

――“あたしらに興味無くて男子をもて遊ぶクソ女”なんて、噂をされていたんだ。

――『お前が悪い』というけれど。

――私のこの運命は、如何(いかが)なもので……?


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