君の笑顔が


あ。
ほら、やっぱりいた。


話しかけようかな…。


「…あの」


「…え?」


彼女から話しかけてきた。


正直、こんな展開は想像していなかったから驚いた。


「…これ、ありがとうございました」


「…あぁ。わざわざよかったのに!」


彼女は傘を差し出してきたんだ。

それを返すためにわざわざ?
しかも、いつどこで会えるかなんかわからないのに。


「体調は大丈夫?」


「あ、うん」


「そっか!よかった!」


「…ありがとう」


え…?

声のトーンが下がった彼女。


そう言えば、この子笑わないな…。
声もトーンをぶりっ子のように上げたりはしない。


「それじゃ」


彼女は頭を下げ、俺とは反対。
つまり、俺が今ある来てきた道の方に歩き出した。


何か言わなきゃ。
じゃなきゃ絶対後悔する。


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