君の笑顔が
雨の中 Side美雪
「…大丈夫?」
頭上から声がして、
顔をあげると知らない男がいた。
またナンパ?
ナンパなんて日常茶飯。
そうとしか思えなかった。
だから私は
「別に」
そっけなく返事をした。
香川美雪。
15歳の高1。
ここにいる理由はたいした訳じゃない。
家は誰もいないし、私にはいく宛もないだけ。
それにしつこい男から逃げてきたんだ。
もう名前も覚えてないけど。
声をかけてきた男とは何回か会話をした。
すると、傘を渡され、
「じゃ!」
と、去っていった。
…は?
「ちょっ…」
声をかけようにも、その男は雨の中走り去った。
どうしよう…。
珍しくメアドも名前も聞かれなかったな…。
なんて思ってしまった。
これが、雅也との出逢いだった。