~デンファレ~
 「…あのさぁ!?……お金に…困ってるなら

 俺と…結婚しない?…」

私は冗談だと思って冗談返しで答えた。

 「困ってる!…いいよっ!…………なんてね!」

すぐにまた歩き出した私の腕を彼が掴んだ。
  

 「…冗談なんかじゃないよ!お金ならあげる

 その代わり俺の妻になって欲しい!」


私は、訳が分からず黙って彼を見ていた。

  「……半年…妻を演じて欲しい…」


彼は私の腕を離し頭を下げた。


「…えっ!えっ…何??…青山さん…?なんで…

 演じる?どう言う事ですか?…」


彼は立ち上がり私の手を握った。


「…妻が必要なんだ!……取引しない?…

 俺は妻が必要!キミはお金が必要だろう?」


私は、俯いて考えてしまった。


(…この人本気?…本気なら…借金返せる…?……

 ダメ!ママだって頑張ったんだ!……けど

私…限界なんだよ…ママ。)
 
「……さっき会ったばかりだよ。何で私なの?」

「…キミじゃなきゃダメなんだ。…」

彼は、笑顔で言った。



「…俺には……゙瀬名゙……」

最後の言葉は小声で聞こえなかった。


風が冷たくなってきて
 
 私達は取りあえず店に戻る事にした。



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