~デンファレ~
  私は握られている手を上に上げ


赤面しながら聞いた。


「あっ…あの~…またですか?…」


「おっと!…ごめん!」


彼は慌てて手を離しソファも距離を置いて


座ってくれた。


「…え~と…キミが何故ここに居たか


 聞いていい?…キミの名前も」


私は、梨莉子さんに頼まれた事を話した。


 「江波瀬名です。…梨莉子さんの


 仕事が終わるまで


 相手をして欲しいと言われて


 来たんです。そしたら、寝ていて……」


私は、その後の事は言わないで


苦笑いをして誤魔化した。


 (…泣いていた…なんて言えないよなぁ~!…)



「……江波……瀬名?……」


彼は私の名前を聞いて思い出すかのように呟いた。


「……?どうしました?……」


私が聞き返すと

 
 何でもなかったように会話をした。


 「じゃ、梨莉子さんは閉店まで忙しいって事か…

 かなり早く来ちゃったからな…


 仕方ないかぁ~!」


  彼は、テーブルに置いてあるグラスの酒を

 
   一口飲んだ。


その横顔が寂しく見えた。


 私は、明るく話しかけた。



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