残り物に福は…ある!?
私はポカンと口を開け、席についた。だって主催してくれたアキにもアキの彼氏にも申し訳無かったから。
すると横にその豚が座ってきた。

あああ!

この時の衝撃を何と表現すべきだろう。ヒトミがカラオケでさくらんぼをリクエストした。私の得意な歌だ。

でもここで今歌えと?この豚の前で恋の歌を?

私はカラオケを飛び出した。皆が私をからかっていたのだろうか?勝手にイケメン男子がやってきて恋に落ちるという夢を見てた私を。

外を歩いていたら雨が降ってきた。泣きっ面に蜂ってこういう感じ?

「いたっ」
おろしたてのミュールの紐で足が擦りむいていた。
そのまま道ばたにしゃがみ込む。
新しいキャミワンも、セットした髪も台無し。
余計に寂しくなった。
「由美ちゃん…あの、僕…」
「私あなたと付き合う気ありませんからっさよならっ!」

私は夢中になって家まで走った。
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