クローバー〜素直になる魔法〜
いつも一緒、、、
『おはよう、華菜。ずいぶん長く目覚まし鳴ってたなぁ。』
『俊兄、、、おはよう。』
声をかけてきたのは、双子の兄の俊哉。戸籍上は俊哉従兄弟だが、本当は私のお兄ちゃん。
スーツを着るとホストにしか見えないお兄ちゃんだけど、化学教師。
1年生の時はクラス担任だった。
とにかくカッコ良くて、面倒見がいい。自慢のお兄ちゃんだ。
『華菜、朝ごはん出来てるよ。』
『わぁー、美味しそう。』
トーストに大好きなブルーベリーのジャムが塗ってある。そして目玉焼きにポテトサラダ。
『ありがとう、俊兄。私の大好きな物ばっかりだね。』
『まだあるぞ。ほい、ホットミルク。』
『やったー。俊兄、大好き!』
満面の笑みで俊兄を見る。さっすが自慢のお兄ちゃん!
『クスクス(笑)元気なのは良い事だけと、早く食べないと時間ないぞ?』
俊兄がデジタル時計を指差した。
時間を見ると7:30。
『もう、こんな時間!急いで食べなきゃ!』
トーストを口に入れてホットミルクを慌てて飲む。
そうだ、サラダも食べなきゃ。
『華菜、口の周りについてる。車で送ってやるから。』
『はいひょうぶ、、、』
(伝わったかな、、、大丈夫って言ったんだけど)
『ぷっ!口に入れすぎて何を言ってるか分からないぞ。』
『大丈夫って言ったの!!』
(もう俊兄ってば!分かってるくせに。)
『はいはい。朝から元気なお姫様だなぁ。、、、まぁ秋介もいるし、大丈夫か。』
『そっ、そうだね。』
(うう、、完全にからかわれてる。話題を変えよう。)
『ところで秋兄は?』
『部屋で着替えてる。』
秋兄は、IT関連の会社を経営してる社長さん。カッコいいんだけど、私に対する愛情表現がちょっと大げさ。
『ねぇ、俊兄。もしかして私が一番最後に起きたの?』
『そうだな。かなりデカイ目覚ましを聞きながらコーヒー飲んでたよ。』
『もう!からかわないでよね!』
『まっ、いつもの事だな。じゃあ、俺はそろそろ行くから。今日はクラス発表の日だから、早めに行かないとな。』
(クラス発表、、、嫌だなぁ。アイツと違うクラスだったらいいんだけど。)
ちょっと考え込んでしまった。
『ねぇ、俊兄。俊兄は新しいクラス知ってるんだよね?』
出掛けようとする俊兄を呼び止めた。
『何だ?急に。』
『どうなの?』
俊兄はキョトンとした顔をしたまま、止まった。
『そりゃ、知ってるけど。何でそんな事聞くんだ?』
『ちょっと気になって。』
『でも教えられないなあ。』
『どーしてもダメ?』
何とか聞き出したくて、ダメ押しにもう1回。
俊兄は笑顔。
『ダメ。教えたら職権乱用になっちゃうだろ?自分の目で確認しなさい。行ってきます。』
『行ってらっしゃい。俊兄、また後でね。』
『あぁ。』
ちょっと意地悪な表情をしながら俊兄は行ってしまった。
(ちぇっ、やっぱりダメかぁ。そりゃ俊兄が正しいけど、ちょっとくらい教えてくれてもいいじゃない。私が何で聞いたのか分かってるくせに。)
『華菜、顔が怖い。』
後ろから声を掛けてきたのは、秋兄。
(着替え終わったんだ。)
『秋兄、おはよ。』
『おはよ。朝から喧嘩もいいけど、時間ないだろ?早く食べろ。学校まで送ってやる。』
『うん、分かった。』
急いで朝食を食べた。