TABOO Ⅰ~カーテンに隠れて~ 


わざと立てるリップ音。


漏れる小さな笑い声。


遊びのような軽いキスをしながら、きちんと結ばれたネクタイの結び目を指先で弄ぶ。


さりげなく幾何学模様なのは、数学の教師だから…なのかはわからないけれど。


熱心に授業を受ける振りをしながら、本当はベクトルとか微分法なんてどうでもよくて、女子生徒の誰もがこれを解いてみたいと思っているに違いない。


「罪深いセンセ」

「は?」

「何でもない」


誤魔化すように、離れた隙間をあたしから埋めた。


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