魔王と王女の物語③-Boy meets girl-【完】
新婚旅行
ベビーが生まれてからというものの、ラスの日常はベビー中心で回っていた。
お乳をあげたり、早めに首がすわったためにはいはいをするベビーと一緒に遊んであげたり――
とにかく忙しくしていたために、コハクと過ごす時間が減っていた。
コハクはコハクでグリーンリバーを統治する者として顔も名も知られてしまい、より良い街とするために嫌々ながらも日々事業に精を出している。
それでも日に何十回も顔を出しに来てはベビーとラスを代わる代わる抱っこしては癒されて、帰って来る頃は深夜近くになり、寝るのが早いラスとはすれ違い生活が続いていた。
「ルゥちゃん…ママ…寂しいな…」
ベビー改めルゥと名付けた男の子の赤ん坊は、ますますコハクに似てきた。
瞳の色はコハクよりも明るいルビーの色に近く、相変わらず夜泣きもせずにラスの苦労を減らしてくれている。
そして部屋の外からコハクの足音が近付いて来ると、決まって手足をばたばたさせて喜んでいた。
「ただいまー。疲れたー!倒れそう!エネルギー補給しねえと死んじまう!」
「コー…お帰りなさい。今日もお疲れ様でした。何か飲む?」
ルゥが眠り、ラスもうとうとしかけた頃にコハクが戻って来ると、ラスは目を擦りながらソファから起き上がったが、コハクがそれを手で制して隣に座った。
「ごめんな、待ってくれてたんだろ?寝てて良かったのに」
「でも…寝てたらコーとお話できないでしょ?私たち、最近なんだかそんなにお話してない気がするし…。コー…もう私に飽きちゃった?」
「…へっ!?今…なんつった?誰が誰に飽きてるって?チビ…勘違いも甚だしいこと言うなよな」
久々にちゃんとコハクとゆっくり話ができて、ぎゅうっと抱きしめてもらうと安心できて背中に腕を回すと、最近ずっと考えていたことを言おうか言うまいか悩みながら顔を上げてコハクを見つめた。
「なんだ、どした?その表情可愛いんだけど!」
「ねえコー…お仕事ちょっとだけお休みできない?」
「仕事?まあ仕事なんかどうにでもなるけどさ。なんでだよ、理由は?」
最近また少し長くなった髪を撫でてくれたコハクの手を取って自分の頬にあてたラスは、上目遣いの潤んだ瞳でコハクに訴えかけた。
「私ね、新婚旅行に行きたいの。ルゥも一緒に。……駄目?みんなで新婚旅行…したいな」
「…する!したい!行きたい!チビとルゥと3人で!明日準備しよう。んですぐ出発しよう!な、そうしよう!」
「ほんとっ?コー、ありがとう!」
ラスが寂しがっていたことがとても嬉しかったと同時に申し訳ないと思っていたコハクがすぐに同意すると、ラスは喜びを爆発させて、コハクの膝に飛び乗った。
お乳をあげたり、早めに首がすわったためにはいはいをするベビーと一緒に遊んであげたり――
とにかく忙しくしていたために、コハクと過ごす時間が減っていた。
コハクはコハクでグリーンリバーを統治する者として顔も名も知られてしまい、より良い街とするために嫌々ながらも日々事業に精を出している。
それでも日に何十回も顔を出しに来てはベビーとラスを代わる代わる抱っこしては癒されて、帰って来る頃は深夜近くになり、寝るのが早いラスとはすれ違い生活が続いていた。
「ルゥちゃん…ママ…寂しいな…」
ベビー改めルゥと名付けた男の子の赤ん坊は、ますますコハクに似てきた。
瞳の色はコハクよりも明るいルビーの色に近く、相変わらず夜泣きもせずにラスの苦労を減らしてくれている。
そして部屋の外からコハクの足音が近付いて来ると、決まって手足をばたばたさせて喜んでいた。
「ただいまー。疲れたー!倒れそう!エネルギー補給しねえと死んじまう!」
「コー…お帰りなさい。今日もお疲れ様でした。何か飲む?」
ルゥが眠り、ラスもうとうとしかけた頃にコハクが戻って来ると、ラスは目を擦りながらソファから起き上がったが、コハクがそれを手で制して隣に座った。
「ごめんな、待ってくれてたんだろ?寝てて良かったのに」
「でも…寝てたらコーとお話できないでしょ?私たち、最近なんだかそんなにお話してない気がするし…。コー…もう私に飽きちゃった?」
「…へっ!?今…なんつった?誰が誰に飽きてるって?チビ…勘違いも甚だしいこと言うなよな」
久々にちゃんとコハクとゆっくり話ができて、ぎゅうっと抱きしめてもらうと安心できて背中に腕を回すと、最近ずっと考えていたことを言おうか言うまいか悩みながら顔を上げてコハクを見つめた。
「なんだ、どした?その表情可愛いんだけど!」
「ねえコー…お仕事ちょっとだけお休みできない?」
「仕事?まあ仕事なんかどうにでもなるけどさ。なんでだよ、理由は?」
最近また少し長くなった髪を撫でてくれたコハクの手を取って自分の頬にあてたラスは、上目遣いの潤んだ瞳でコハクに訴えかけた。
「私ね、新婚旅行に行きたいの。ルゥも一緒に。……駄目?みんなで新婚旅行…したいな」
「…する!したい!行きたい!チビとルゥと3人で!明日準備しよう。んですぐ出発しよう!な、そうしよう!」
「ほんとっ?コー、ありがとう!」
ラスが寂しがっていたことがとても嬉しかったと同時に申し訳ないと思っていたコハクがすぐに同意すると、ラスは喜びを爆発させて、コハクの膝に飛び乗った。
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