魔王と王女の物語③-Boy meets girl-【完】
朝目覚めたラスは、昨日現れた恐ろしい悪魔が鏡の前でうっとりしている姿を見て目を擦った。
「ああ…なんて美しい…!コハク様には及びませんが、俺もとても美しい…!」
「コー…変な人が居る」
「無視無視。チビ、今日だけ我慢してもらっていいか?夜には追い出すからさ」
気が付けば隣にはデスが手を繋いだまますやすや眠っており、コハクはふんぞり返ってソファに座りながら鏡の前で頬を染めているゼブルを監視していた。
何かおかしいことになった、と思いながらもコハクの膝の上でうにうにしているルゥの姿にほっとしてベッドから抜け出す。
「うん、私は大丈夫。この人自分のことが大好きなんだね」
「上級悪魔は大概こんなもんだぜ。力が強い奴は外見が整ってるからな。自分大好きな奴らが多いんだ」
「ふうん、じゃあコーも力が強いから綺麗なの?絶対そうだよね」
隣にすり寄って来たラスの肩を抱いてべったりくっついたコハクは、ぼさぼさのラスの髪に朝露のスプレーをして丁寧に梳いてやった。
これもいつものことなのでラスは気に留めていなかったが、鏡の前に立っていたゼブルは甲斐甲斐しいコハクの様を腕組みをして凝視。
「なんだよこっち見んな」
「あなたの奥方もお美しいですね。不死になったとか?そのお美しさは永遠…というわけだ」
もう老いることも死ぬこともない。
まだラスはそれを実感できていないが、妖気を完全に消したゼブルが怖くなくなったラスは、陽気な笑顔を向けて頷いた。
「コーが不死の魔法を私にかけたの。ゼブルさんも死なないの?」
「死ぬわけないじゃないですか、俺は超上級悪魔ですからね。かつて人間たちからは魔王と呼ばれていたこともあったほどですから」
尋ねたはいいが大して興味のないラスはコハクが淹れてくれた紅茶を飲みながら嬉しがるルゥのぷにぷにの頬を突いていた。
コハクが離れて行くことはないとわかっているのだが…2年間も離れていた経験があるのでまた少しだけ不安がよぎる。
「チビ、また考えなくていいこと考えてんな?俺はどこにも行かねえって言ったろ?」
「うん、そうだよね。コー、お腹空いちゃった。デス起こして何か食べよ」
「では俺もご一緒してもよろしいでしょうか」
――ついて回るゼブル。
真の目的は、まだ伏せられたまま。
「ああ…なんて美しい…!コハク様には及びませんが、俺もとても美しい…!」
「コー…変な人が居る」
「無視無視。チビ、今日だけ我慢してもらっていいか?夜には追い出すからさ」
気が付けば隣にはデスが手を繋いだまますやすや眠っており、コハクはふんぞり返ってソファに座りながら鏡の前で頬を染めているゼブルを監視していた。
何かおかしいことになった、と思いながらもコハクの膝の上でうにうにしているルゥの姿にほっとしてベッドから抜け出す。
「うん、私は大丈夫。この人自分のことが大好きなんだね」
「上級悪魔は大概こんなもんだぜ。力が強い奴は外見が整ってるからな。自分大好きな奴らが多いんだ」
「ふうん、じゃあコーも力が強いから綺麗なの?絶対そうだよね」
隣にすり寄って来たラスの肩を抱いてべったりくっついたコハクは、ぼさぼさのラスの髪に朝露のスプレーをして丁寧に梳いてやった。
これもいつものことなのでラスは気に留めていなかったが、鏡の前に立っていたゼブルは甲斐甲斐しいコハクの様を腕組みをして凝視。
「なんだよこっち見んな」
「あなたの奥方もお美しいですね。不死になったとか?そのお美しさは永遠…というわけだ」
もう老いることも死ぬこともない。
まだラスはそれを実感できていないが、妖気を完全に消したゼブルが怖くなくなったラスは、陽気な笑顔を向けて頷いた。
「コーが不死の魔法を私にかけたの。ゼブルさんも死なないの?」
「死ぬわけないじゃないですか、俺は超上級悪魔ですからね。かつて人間たちからは魔王と呼ばれていたこともあったほどですから」
尋ねたはいいが大して興味のないラスはコハクが淹れてくれた紅茶を飲みながら嬉しがるルゥのぷにぷにの頬を突いていた。
コハクが離れて行くことはないとわかっているのだが…2年間も離れていた経験があるのでまた少しだけ不安がよぎる。
「チビ、また考えなくていいこと考えてんな?俺はどこにも行かねえって言ったろ?」
「うん、そうだよね。コー、お腹空いちゃった。デス起こして何か食べよ」
「では俺もご一緒してもよろしいでしょうか」
――ついて回るゼブル。
真の目的は、まだ伏せられたまま。