魔王と王女の物語③-Boy meets girl-【完】
ゼブルの邪気にあてられたアーシェが寝込んだ。
コハクの傍にはいつまで経ってもゼブルが侍っていたので、ラスはデスと一緒に作業部屋の隣室にアーシェを寝かせて看病をした。
「アーシェ…大丈夫?」
「ん…。あいつに触られてからずっと気分が悪いんだ…。ちょっと寝れば治るから平気」
「後でコーに魔法をかけて治してもらおうね。何か食べたいものある?飲みたいものは?」
膝をついて額に手をあててきたラスの心配そうな表情に嬉しくなったアーシェは、鉄面皮を装って首を振った。
…今までは病気になっても誰が看病してくれるわけでもなかったので重たい身体を引きずって作業に明け暮れたが――今は看病してくれる人が居る。
本格的にここの居心地が良くなってきてしまったアーシェは、ふうとため息をついてラスのやわらかい手の感触に酔いしれる。
「放っといてくれたら治るから」
「そう?じゃあ…ちょっとここに居てもいい?ゼブルさんがずっとコーの傍に居て時々私を睨むから居づらいの。ね、デス」
「………」
コハクにそっくりと言えどアーシェはデスにとってはあかの他人。
人見知り全開でローブを羽織、フードを目深に被ったデスに駆け寄って正面から抱き着いたラスは、こんな風に不気味な雰囲気を醸し出しながらも垂れ目で優しい顔をしているデスと目が合ってにこっと笑った。
「デスも一緒に居てくれるでしょ?」
「………うん…」
「じゃあソファに座ってお話しよ。あっ、アーシェは寝てていいからね。邪魔しないように小さい声で話すから」
気を遣ったラスがソファに座るとデスが隣に膝を抱えて座り、どんな会話をしているのか瞳を閉じて耳を澄ましていると――一方的に話しているのはラスだった。
それがいつものことなのか、喋らないデスを気にした風でもなく話し続けるラスは明るく、部屋の空気が一気に穏やかなものに変わる。
「…変な女だな…」
部屋に人が居る状況で眠るなど普段の自分なら有り得ないことだが…うとうとしたアーシェはそのまま眠りにつき、すうすうと寝息を立てる。
「あ、寝ちゃった。ふふっ、寝顔もコーに似てる。可愛いね」
「……」
「デスの寝顔もすっごく可愛いんだよ。アーシェ寝ちゃったからフード取ったら?デスの顔よく見たいな」
デスがゆっくりとフードを脱ぐ。
コハクが居ないことをいいことにラスの頬に頬ずりをして腰を抱き寄せた。
コハクの傍にはいつまで経ってもゼブルが侍っていたので、ラスはデスと一緒に作業部屋の隣室にアーシェを寝かせて看病をした。
「アーシェ…大丈夫?」
「ん…。あいつに触られてからずっと気分が悪いんだ…。ちょっと寝れば治るから平気」
「後でコーに魔法をかけて治してもらおうね。何か食べたいものある?飲みたいものは?」
膝をついて額に手をあててきたラスの心配そうな表情に嬉しくなったアーシェは、鉄面皮を装って首を振った。
…今までは病気になっても誰が看病してくれるわけでもなかったので重たい身体を引きずって作業に明け暮れたが――今は看病してくれる人が居る。
本格的にここの居心地が良くなってきてしまったアーシェは、ふうとため息をついてラスのやわらかい手の感触に酔いしれる。
「放っといてくれたら治るから」
「そう?じゃあ…ちょっとここに居てもいい?ゼブルさんがずっとコーの傍に居て時々私を睨むから居づらいの。ね、デス」
「………」
コハクにそっくりと言えどアーシェはデスにとってはあかの他人。
人見知り全開でローブを羽織、フードを目深に被ったデスに駆け寄って正面から抱き着いたラスは、こんな風に不気味な雰囲気を醸し出しながらも垂れ目で優しい顔をしているデスと目が合ってにこっと笑った。
「デスも一緒に居てくれるでしょ?」
「………うん…」
「じゃあソファに座ってお話しよ。あっ、アーシェは寝てていいからね。邪魔しないように小さい声で話すから」
気を遣ったラスがソファに座るとデスが隣に膝を抱えて座り、どんな会話をしているのか瞳を閉じて耳を澄ましていると――一方的に話しているのはラスだった。
それがいつものことなのか、喋らないデスを気にした風でもなく話し続けるラスは明るく、部屋の空気が一気に穏やかなものに変わる。
「…変な女だな…」
部屋に人が居る状況で眠るなど普段の自分なら有り得ないことだが…うとうとしたアーシェはそのまま眠りにつき、すうすうと寝息を立てる。
「あ、寝ちゃった。ふふっ、寝顔もコーに似てる。可愛いね」
「……」
「デスの寝顔もすっごく可愛いんだよ。アーシェ寝ちゃったからフード取ったら?デスの顔よく見たいな」
デスがゆっくりとフードを脱ぐ。
コハクが居ないことをいいことにラスの頬に頬ずりをして腰を抱き寄せた。