魔王と王女の物語③-Boy meets girl-【完】
コハクの気を引くために自分が利用されようとしている…
ラスは額に手を押し付けてくるゼブルの掌からものすごく重たい波動のようなものを感じて悲鳴を上げた。
「いや…っ!やめて…!」
「さすがの俺でも不死の魔法を破る術はない。だがその術に干渉することはできると前々から思っていた。いつかこんな日が来るのではないかなと思い、オリジナルの術を作るべく日々研鑽してきた甲斐があったというものだ」
オリジナルの術を破るにはそれなりの時間と労力がかかる。
コハクのことだからすぐに術を解く方法が見つかるかもしれないが、それまでは苦しんで苦しんで…ラスを人質に魔界へ招いてあの黒髪の頭に魔王としての王冠を被せる。
そうすれば魔界統一の夢が叶い、コハクの側近として毎日を楽しく生きてゆくことができるだろう。
「お前が現れなければコハク様は今頃本当の魔王として君臨されていただろう。お前が現れなければ…」
呪いをかけるようにラスの耳元で囁いているとがくっと身体の力が抜けて気を失った。
か弱い生き物だ、と呟いたゼブルは、ラスを乱暴に肩に担いでベッドに放り投げる。
「老いが怖くない者は居ない。だがコハク様は不死でいつまでもお美しくお強い。お前みたいなか弱い生き物が永遠にコハク様のお傍に居られるなどあってはならない」
どこまでもコハクに執着するゼブルは、ラスを独り残してふいっと出入口に向かい、肩越しにちらりとラスを見遣る。
「監視しているからな。食料も住居の環境も問題ない。コハク様が見つけることができるか…その時お前は幾つになっているのか…。ふふふ」
不気味な笑い声を漏らして部屋を出た。
コハクの千里眼は厄介だ。
敢えてこちら側からコハクに近付いて気付くのか試してみるのも面白い。
「あんな女に奪われるのはごめんだ。コハク様は魔王。大切なものなどひとつも身に抱えてはならない」
執着心は強く、最強と謳われていた以前のコハクの姿が今でも瞼に焼き付いている。
ふっと微笑んだゼブルは、昏い瞳で空を見上げた。
ラスは額に手を押し付けてくるゼブルの掌からものすごく重たい波動のようなものを感じて悲鳴を上げた。
「いや…っ!やめて…!」
「さすがの俺でも不死の魔法を破る術はない。だがその術に干渉することはできると前々から思っていた。いつかこんな日が来るのではないかなと思い、オリジナルの術を作るべく日々研鑽してきた甲斐があったというものだ」
オリジナルの術を破るにはそれなりの時間と労力がかかる。
コハクのことだからすぐに術を解く方法が見つかるかもしれないが、それまでは苦しんで苦しんで…ラスを人質に魔界へ招いてあの黒髪の頭に魔王としての王冠を被せる。
そうすれば魔界統一の夢が叶い、コハクの側近として毎日を楽しく生きてゆくことができるだろう。
「お前が現れなければコハク様は今頃本当の魔王として君臨されていただろう。お前が現れなければ…」
呪いをかけるようにラスの耳元で囁いているとがくっと身体の力が抜けて気を失った。
か弱い生き物だ、と呟いたゼブルは、ラスを乱暴に肩に担いでベッドに放り投げる。
「老いが怖くない者は居ない。だがコハク様は不死でいつまでもお美しくお強い。お前みたいなか弱い生き物が永遠にコハク様のお傍に居られるなどあってはならない」
どこまでもコハクに執着するゼブルは、ラスを独り残してふいっと出入口に向かい、肩越しにちらりとラスを見遣る。
「監視しているからな。食料も住居の環境も問題ない。コハク様が見つけることができるか…その時お前は幾つになっているのか…。ふふふ」
不気味な笑い声を漏らして部屋を出た。
コハクの千里眼は厄介だ。
敢えてこちら側からコハクに近付いて気付くのか試してみるのも面白い。
「あんな女に奪われるのはごめんだ。コハク様は魔王。大切なものなどひとつも身に抱えてはならない」
執着心は強く、最強と謳われていた以前のコハクの姿が今でも瞼に焼き付いている。
ふっと微笑んだゼブルは、昏い瞳で空を見上げた。