魔王と王女の物語③-Boy meets girl-【完】
水色や赤や白…
カラフルな水鳥たちに囲まれてほっとしたラスが千切ったパンを掌に乗せると、彼らは長いくちばしを寄せて直接掌から食べてくれた。
『君はここがどこか知らないの?』
「うん、知らないの。ゼブルっていう悪魔に連れて来られて…全然意味がわかんないの。ここはどこ?」
ゼブルという名を口にした途端、彼らは心底驚いたといった感じで大きな翼を広げて後ずさりした。
『ゼブル!?き、君は悪魔なのか!?』
「ううん、私は違うんだけど…。多分私の旦那さんに内緒で連れて来られたからすごく怒ってると思うし、帰らなくちゃ。ここはどこ?」
何度もここはどこなのかと聞いているうちにラスの瞳が潤み、放っておけなくなった水鳥たちはまたラスに近寄って首を振った。
『ここはものすごく山奥だよ。人の脚だと丸1日かけてもこの山を下りることはできないし、民家がある所までは数日かかるんだ。…残念だけど』
「そう…。じゃあコーが助けに来てくれるのを待つしかないんだね。鳥さんたちありがとう」
意外とすんなり引いたラスに慌てた水鳥たちは、ラスが腰を上げてログハウスに引き返そうとしたのでまたもや慌てて後を追う。
ぺたぺたと足音を響かせながらよちよちついて来る水鳥たちはとても可愛くて、ラスは立ち止まって中腰になった。
『どうして悪魔なんかに連れて来られたんだい?』
「私の旦那さんを魔界の王様にしたいんだって。だから私が邪魔だって言ってた。………ルゥ…元気かな…。ねえ、ぎゅってさせて」
すやすや眠っていたルゥ――
離れている間、おむつを替えたりご飯をあげたりはきっとコハクが完璧にこなしてくれるだろう。
けれどこの腕にはルゥの重さを感じることもなく、ぬくもりを感じることもなく――空虚だ。
寂しげな表情を見せたラスに心を打たれた水色の水鳥は、ラスを包み込むようにして翼を広げて抱きしめた。
「ふふっ、私がぎゅってしたいのにぎゅってされちゃった。ありがとう…あったかい…」
『僕たちまた遊びに来るからしょげないで。お土産も持って来るから』
「うん…じゃあ明日も待ってるね。私はラスっていうの。またね」
立ち上がって手を振るラスを見送った水鳥たちは、一斉に飛び立っていった。
ラスを気にかけながら。
カラフルな水鳥たちに囲まれてほっとしたラスが千切ったパンを掌に乗せると、彼らは長いくちばしを寄せて直接掌から食べてくれた。
『君はここがどこか知らないの?』
「うん、知らないの。ゼブルっていう悪魔に連れて来られて…全然意味がわかんないの。ここはどこ?」
ゼブルという名を口にした途端、彼らは心底驚いたといった感じで大きな翼を広げて後ずさりした。
『ゼブル!?き、君は悪魔なのか!?』
「ううん、私は違うんだけど…。多分私の旦那さんに内緒で連れて来られたからすごく怒ってると思うし、帰らなくちゃ。ここはどこ?」
何度もここはどこなのかと聞いているうちにラスの瞳が潤み、放っておけなくなった水鳥たちはまたラスに近寄って首を振った。
『ここはものすごく山奥だよ。人の脚だと丸1日かけてもこの山を下りることはできないし、民家がある所までは数日かかるんだ。…残念だけど』
「そう…。じゃあコーが助けに来てくれるのを待つしかないんだね。鳥さんたちありがとう」
意外とすんなり引いたラスに慌てた水鳥たちは、ラスが腰を上げてログハウスに引き返そうとしたのでまたもや慌てて後を追う。
ぺたぺたと足音を響かせながらよちよちついて来る水鳥たちはとても可愛くて、ラスは立ち止まって中腰になった。
『どうして悪魔なんかに連れて来られたんだい?』
「私の旦那さんを魔界の王様にしたいんだって。だから私が邪魔だって言ってた。………ルゥ…元気かな…。ねえ、ぎゅってさせて」
すやすや眠っていたルゥ――
離れている間、おむつを替えたりご飯をあげたりはきっとコハクが完璧にこなしてくれるだろう。
けれどこの腕にはルゥの重さを感じることもなく、ぬくもりを感じることもなく――空虚だ。
寂しげな表情を見せたラスに心を打たれた水色の水鳥は、ラスを包み込むようにして翼を広げて抱きしめた。
「ふふっ、私がぎゅってしたいのにぎゅってされちゃった。ありがとう…あったかい…」
『僕たちまた遊びに来るからしょげないで。お土産も持って来るから』
「うん…じゃあ明日も待ってるね。私はラスっていうの。またね」
立ち上がって手を振るラスを見送った水鳥たちは、一斉に飛び立っていった。
ラスを気にかけながら。