魔王と王女の物語③-Boy meets girl-【完】
ゼブルにかけられた魔法の効果はまだ感じられない。
いや…あれは魔法というよりは…呪いか。
「老いる魔法って言ってた…。老いるって…どんな感じなのかな」
ログハウスに戻ったラスは、窓を全開にして爽やかな風を部屋に入れながら呟いた。
コハクに不死の魔法をかけてやる、と言われた時から老いた自分をあまり想像したことがなかったので、いまいちぴんと来なくて結局考えるのをすぐにやめてしまった。
「あ!動物が居る!狸さんと…豚さん?」
人間が珍しいのか、窓に身を乗り出して顔を輝かせているラスに警戒心を抱かず興味を持ってとことこ近寄って来る。
『人間だ…』
「うん、人間なの。私しばらくここに居るかもしれないから仲良くしてね」
言葉が通じたことに驚いた狸と豚は森の奥にささっと走り去ってしまったが、しばらくすると木々の間からひょこっと顔を出してラスの様子を窺い、またそろそろと近付いてきた。
『さっき…ものすごく怖い男が来てたけど君の連れ?』
「ううん、私攫われて来たの。ねえ、傍に行ってもいい?」
顔を見合わせた2匹が窓辺まで来てちょこんと座ると、ラスはログハウスから出て2匹の前に座った。
水鳥の時と同じようにパンを1枚持って来て千切って差し出すと、2匹は嬉しそうにそれを食べて尻尾を振る。
『しばらくここにって…どの位?』
「コーが…私の旦那様が私を見つけてくれるまで、かな。私の脚じゃ山から下りれないって水鳥さんたちに言われたから…」
表情を曇らせたラスにきゅんとした彼らは、なんとかラスを慰めようとしてぴったり身体を寄せると、明るい声で励ました。
『僕たちが遊び相手になってあげるよ。でも絶対森には入らないで。この森は人が入り込むと方向感覚が狂ってしまうから』
「うん、わかった。わあ、お友達ができて嬉しい。私…ちょっとだけ心細かったから」
『しばらくここに居るのなら食べ物も必要だよね。僕たちが持って来てあげるし、友達ももっと沢山連れて来てあげるよ。でもあの怖い奴が来たらすぐ逃げるから』
「うん、すぐ逃げてね。よし、負けてられないんだから!」
笑顔を見せたラスの回りを2匹がぐるぐる走り回る。
コハクの心配をよそに、ラスは相変わらずマイペースだった。
いや…あれは魔法というよりは…呪いか。
「老いる魔法って言ってた…。老いるって…どんな感じなのかな」
ログハウスに戻ったラスは、窓を全開にして爽やかな風を部屋に入れながら呟いた。
コハクに不死の魔法をかけてやる、と言われた時から老いた自分をあまり想像したことがなかったので、いまいちぴんと来なくて結局考えるのをすぐにやめてしまった。
「あ!動物が居る!狸さんと…豚さん?」
人間が珍しいのか、窓に身を乗り出して顔を輝かせているラスに警戒心を抱かず興味を持ってとことこ近寄って来る。
『人間だ…』
「うん、人間なの。私しばらくここに居るかもしれないから仲良くしてね」
言葉が通じたことに驚いた狸と豚は森の奥にささっと走り去ってしまったが、しばらくすると木々の間からひょこっと顔を出してラスの様子を窺い、またそろそろと近付いてきた。
『さっき…ものすごく怖い男が来てたけど君の連れ?』
「ううん、私攫われて来たの。ねえ、傍に行ってもいい?」
顔を見合わせた2匹が窓辺まで来てちょこんと座ると、ラスはログハウスから出て2匹の前に座った。
水鳥の時と同じようにパンを1枚持って来て千切って差し出すと、2匹は嬉しそうにそれを食べて尻尾を振る。
『しばらくここにって…どの位?』
「コーが…私の旦那様が私を見つけてくれるまで、かな。私の脚じゃ山から下りれないって水鳥さんたちに言われたから…」
表情を曇らせたラスにきゅんとした彼らは、なんとかラスを慰めようとしてぴったり身体を寄せると、明るい声で励ました。
『僕たちが遊び相手になってあげるよ。でも絶対森には入らないで。この森は人が入り込むと方向感覚が狂ってしまうから』
「うん、わかった。わあ、お友達ができて嬉しい。私…ちょっとだけ心細かったから」
『しばらくここに居るのなら食べ物も必要だよね。僕たちが持って来てあげるし、友達ももっと沢山連れて来てあげるよ。でもあの怖い奴が来たらすぐ逃げるから』
「うん、すぐ逃げてね。よし、負けてられないんだから!」
笑顔を見せたラスの回りを2匹がぐるぐる走り回る。
コハクの心配をよそに、ラスは相変わらずマイペースだった。