魔王と王女の物語③-Boy meets girl-【完】
にこにこしているラスは何も不安を感じていないように見えた。
だがラスと一緒に寝た豚とウサギは、不安そうな表情で枕を抱きしめていたラスを見ているし、こんなところにひとり置いて行かれて平気なはずがない。
彼らは単なる動物だったが、この森には魔物も住んでいる。
見つかれば殺されて食べられるし、弱肉強食のルールではこの森の頂点は人間ではない。
『お嬢さん、遊びに来たよ。いいものをあげよう』
「あ!昨日の水鳥さんたちだ!いいものってなあに?」
嘴が大きく膨れた淡いピンク色の水鳥は、大きく背中を逸らすと嘴から大量の魚を吐き出した。
さっきまで湖で泳いでいたのか地面をぴちぴちと跳ね回り、10匹ほど集まった動物たちときゃあきゃあ声を上げながら捕まえている間、すっかりラスに同情していた豚は数匹の動物たちと額を突き合わせて状況の説明をした。
『あのお嬢さん…悪魔に狙われてるんだ。僕らじゃどうにもできないだろうけど…何か考えてあげないと1週間後…1か月後には彼女はおばあちゃんになってしまうかも』
『魔法か…!あんな弱そうで可愛い女の子なのに可哀そうに…。よしわかった、みんなでアイディアを出そう』
当のラスはひとりぼっちでコハクを待っていなければならないと不安を抱えていたので、こんなに大勢の可愛い動物たちに囲まれて嬉しさを爆発させていた。
多分彼らは魔物ではなくて動物――
コハクに言わせれば“知らない人とは話しちゃいけません!”だが…今は縋り付くほど心細くて誰かに傍に居て欲しい。
彼らは無邪気に魚を頬張ったりラスの膝に上がって寛いだりしていたし、口々に面白い話を聞かせてくれて飽きることがない。
それにきっとすぐコハクが見つけてくれると信じているから、彼らに勇気を分けてもらって拳を握りしめて気合いを入れた。
「私…頑張るっ。コーが私をすぐ見つけてくれると思うから、貴重な体験だと思って楽しむことにする!」
『その意気だよお嬢さん。僕たちも君みたいな可愛い女の子とお話できて嬉しいんだ。ただし夜は絶対外に出ないようにね。僕たちが交代で一緒に寝てあげるから独りじゃないよ』
にこっと笑ったラスの笑顔に動物一同、でれでれ。
コハクが見たらまさに全殺し決定な光景だった。
だがラスと一緒に寝た豚とウサギは、不安そうな表情で枕を抱きしめていたラスを見ているし、こんなところにひとり置いて行かれて平気なはずがない。
彼らは単なる動物だったが、この森には魔物も住んでいる。
見つかれば殺されて食べられるし、弱肉強食のルールではこの森の頂点は人間ではない。
『お嬢さん、遊びに来たよ。いいものをあげよう』
「あ!昨日の水鳥さんたちだ!いいものってなあに?」
嘴が大きく膨れた淡いピンク色の水鳥は、大きく背中を逸らすと嘴から大量の魚を吐き出した。
さっきまで湖で泳いでいたのか地面をぴちぴちと跳ね回り、10匹ほど集まった動物たちときゃあきゃあ声を上げながら捕まえている間、すっかりラスに同情していた豚は数匹の動物たちと額を突き合わせて状況の説明をした。
『あのお嬢さん…悪魔に狙われてるんだ。僕らじゃどうにもできないだろうけど…何か考えてあげないと1週間後…1か月後には彼女はおばあちゃんになってしまうかも』
『魔法か…!あんな弱そうで可愛い女の子なのに可哀そうに…。よしわかった、みんなでアイディアを出そう』
当のラスはひとりぼっちでコハクを待っていなければならないと不安を抱えていたので、こんなに大勢の可愛い動物たちに囲まれて嬉しさを爆発させていた。
多分彼らは魔物ではなくて動物――
コハクに言わせれば“知らない人とは話しちゃいけません!”だが…今は縋り付くほど心細くて誰かに傍に居て欲しい。
彼らは無邪気に魚を頬張ったりラスの膝に上がって寛いだりしていたし、口々に面白い話を聞かせてくれて飽きることがない。
それにきっとすぐコハクが見つけてくれると信じているから、彼らに勇気を分けてもらって拳を握りしめて気合いを入れた。
「私…頑張るっ。コーが私をすぐ見つけてくれると思うから、貴重な体験だと思って楽しむことにする!」
『その意気だよお嬢さん。僕たちも君みたいな可愛い女の子とお話できて嬉しいんだ。ただし夜は絶対外に出ないようにね。僕たちが交代で一緒に寝てあげるから独りじゃないよ』
にこっと笑ったラスの笑顔に動物一同、でれでれ。
コハクが見たらまさに全殺し決定な光景だった。