魔王と王女の物語③-Boy meets girl-【完】
満開の金色の花に指を突っ込むと、指先にとろとろの蜜が絡み付いてすぐ口に運んで頬を緩めた。
「美味しい…」
「じゃあ改めてまたハニートースト作ってやっから。食うだろ?」
「ルゥちゃんも食べる?ママが食べさせてあげよっか」
「あうあうー!」
ルゥが助けてくれたとコハクは言った。
水晶を小さな手に握って生まれてきた不思議な男の子は、まるで言葉がわかっているかのように返事をして胸に抱き着くと、ルゥを少しだけ下ろしてコハクに両手を差し伸べた。
すぐ察したコハクは優しい微笑を浮かべて両手を取ると、左手は重ねて右手はラスの腰に添えて、ワルツのステップを踏んだ。
ラスは王女だったのでもちろん踊れるし、コハクは時間を持て余してきたので大抵のダンスなら踊れる。
音楽はなかったが、まるで音楽が鳴っているかのように息がぴったりに見えるのは、コハクがラスに合わせているからだ。
ルゥが興奮して手を叩き、だんだん息が切れてきたラスは備え付けのベンチに座って久しぶりにラスの頬をぺろぺろ舐めた。
「コー、くすぐったいよ」
「どんだけ離れてたと思ってんだ。やっと見つけたと思ったら妊娠してるとか!俺はさらに我慢しなきゃいけねえじゃんかよ」
「え?なんの話?」
「チビとしたいなって話」
ストレートに告げると、最初はきょとんとしていたラスの頬がぽっと赤くなった。
コハクとしては、ラスのことが心配で心配でそれどころではなかったのだが――少し元気が出てきたラスを笑わせたいとも思うし、ついでに本音も言えたので満足する予定だった。
だがそんなラスの反応を見てしまうと――
「あー…そのー…今夜は有りかな?い、いやいやほら、言うだけタダじゃん。だったら言ってみようかなーって思って…」
慌てまくって否定をすると、ラスはへらへらと笑いかけてくるルゥの真っ黒な髪を撫でてやりながら、微かに頷いた。
「あ!今頷いたな!?じゃあ!俺…チビを絶対喜ばす!その…してほしいことがあったら、な、な、なんなりと!」
「うん…わかった。コー…私がおばあちゃんじゃなくていつもの私に戻ったかどうか隅々まで見てね。絶対だよ」
「ん…わかってる。俺に任せとけ。な?」
ルゥの両目を片手で塞いで、ラスとキス。
「美味しい…」
「じゃあ改めてまたハニートースト作ってやっから。食うだろ?」
「ルゥちゃんも食べる?ママが食べさせてあげよっか」
「あうあうー!」
ルゥが助けてくれたとコハクは言った。
水晶を小さな手に握って生まれてきた不思議な男の子は、まるで言葉がわかっているかのように返事をして胸に抱き着くと、ルゥを少しだけ下ろしてコハクに両手を差し伸べた。
すぐ察したコハクは優しい微笑を浮かべて両手を取ると、左手は重ねて右手はラスの腰に添えて、ワルツのステップを踏んだ。
ラスは王女だったのでもちろん踊れるし、コハクは時間を持て余してきたので大抵のダンスなら踊れる。
音楽はなかったが、まるで音楽が鳴っているかのように息がぴったりに見えるのは、コハクがラスに合わせているからだ。
ルゥが興奮して手を叩き、だんだん息が切れてきたラスは備え付けのベンチに座って久しぶりにラスの頬をぺろぺろ舐めた。
「コー、くすぐったいよ」
「どんだけ離れてたと思ってんだ。やっと見つけたと思ったら妊娠してるとか!俺はさらに我慢しなきゃいけねえじゃんかよ」
「え?なんの話?」
「チビとしたいなって話」
ストレートに告げると、最初はきょとんとしていたラスの頬がぽっと赤くなった。
コハクとしては、ラスのことが心配で心配でそれどころではなかったのだが――少し元気が出てきたラスを笑わせたいとも思うし、ついでに本音も言えたので満足する予定だった。
だがそんなラスの反応を見てしまうと――
「あー…そのー…今夜は有りかな?い、いやいやほら、言うだけタダじゃん。だったら言ってみようかなーって思って…」
慌てまくって否定をすると、ラスはへらへらと笑いかけてくるルゥの真っ黒な髪を撫でてやりながら、微かに頷いた。
「あ!今頷いたな!?じゃあ!俺…チビを絶対喜ばす!その…してほしいことがあったら、な、な、なんなりと!」
「うん…わかった。コー…私がおばあちゃんじゃなくていつもの私に戻ったかどうか隅々まで見てね。絶対だよ」
「ん…わかってる。俺に任せとけ。な?」
ルゥの両目を片手で塞いで、ラスとキス。