魔王と王女の物語③-Boy meets girl-【完】
「赤ちゃん!赤ちゃん!!グラースとドラちゃんに赤ちゃん!」
「こーら、はしゃぐなって!俺が落っことしたらどうすんだ!」
「コーは私を落としたりしないでしょ?するの?」
抱っこしたラスが大きな緑の瞳で間近に見つめてきて舞い上がってしまったコハクは、ぞろぞろとついて来る動物たちを踏まないように気を付けて階段を降りると、次はアーシェの作業部屋に向かった。
改造済みの魔物たちからは、作業部屋の前に食事を置いておくと空になった器がドアの前に置かれているというので、食事だけはちゃんと摂っているようで安心はしていたのだが…
「あいつ根詰めるタイプなんだよな。身体壊しちまうぞ」
「そういうとこもコーに似てるよね。コーも本読み始めるとご飯食べないしずっと部屋に閉じ籠もってるでしょ」
「まあなー。ほら着いたぞ。アーシェ、開けるからな」
ラスを抱っこしつつなんとかドアノブを回してそっと開けてみると――アーシェは彫刻のかすが散らばった床の上に倒れるようにして眠り込んでいた。
慌てたラスが腕から降りて駆け寄って肩を揺すったが、深い眠りについているアーシェは一向に起きず、コハクに助けを求めようと振り仰いだ時――
「…コー?どうしたの?」
「チビ…これ見てみろよ」
「え?……わ……綺麗……!」
コハクとラスの視線の炊きには――真っ白な翼を大きく広げて自らの身を包み込むようにしつつ、胸に抱きしめた卵を愛しそうに見つめる女の彫像。
頭上には花冠を被り、伏し目がちに微笑む女性のモデルは間違いなく、ラスだろう。
コハクは自身の影からマントを取り出してアーシェの身体にかけてやると、ラスの肩を抱いて彫像の前に立った。
「すげえ大作だな…。今にも動き出しそうなんだけど」
「真っ白なはずなのに、色彩が宿ってるように見えるよ。すごいよ…これって魔法なの?」
「そだな、アーシェの魔法だ。さっすが俺の血族じゃん。なあチビ、これさ、街の中央にある公園の噴水んとこに置こうぜ。この彫像が観光客たちを出迎えるんだ」
「それすっごく素敵!コー、楽しみだね!アーシェ、起きて起きて!アーシェったら!」
寝させておけばいいのに強引に起こそうとしているラスをコハクは止めもせず、彫像の周囲をぐるりと一周して満足げに頷いた。
「こーら、はしゃぐなって!俺が落っことしたらどうすんだ!」
「コーは私を落としたりしないでしょ?するの?」
抱っこしたラスが大きな緑の瞳で間近に見つめてきて舞い上がってしまったコハクは、ぞろぞろとついて来る動物たちを踏まないように気を付けて階段を降りると、次はアーシェの作業部屋に向かった。
改造済みの魔物たちからは、作業部屋の前に食事を置いておくと空になった器がドアの前に置かれているというので、食事だけはちゃんと摂っているようで安心はしていたのだが…
「あいつ根詰めるタイプなんだよな。身体壊しちまうぞ」
「そういうとこもコーに似てるよね。コーも本読み始めるとご飯食べないしずっと部屋に閉じ籠もってるでしょ」
「まあなー。ほら着いたぞ。アーシェ、開けるからな」
ラスを抱っこしつつなんとかドアノブを回してそっと開けてみると――アーシェは彫刻のかすが散らばった床の上に倒れるようにして眠り込んでいた。
慌てたラスが腕から降りて駆け寄って肩を揺すったが、深い眠りについているアーシェは一向に起きず、コハクに助けを求めようと振り仰いだ時――
「…コー?どうしたの?」
「チビ…これ見てみろよ」
「え?……わ……綺麗……!」
コハクとラスの視線の炊きには――真っ白な翼を大きく広げて自らの身を包み込むようにしつつ、胸に抱きしめた卵を愛しそうに見つめる女の彫像。
頭上には花冠を被り、伏し目がちに微笑む女性のモデルは間違いなく、ラスだろう。
コハクは自身の影からマントを取り出してアーシェの身体にかけてやると、ラスの肩を抱いて彫像の前に立った。
「すげえ大作だな…。今にも動き出しそうなんだけど」
「真っ白なはずなのに、色彩が宿ってるように見えるよ。すごいよ…これって魔法なの?」
「そだな、アーシェの魔法だ。さっすが俺の血族じゃん。なあチビ、これさ、街の中央にある公園の噴水んとこに置こうぜ。この彫像が観光客たちを出迎えるんだ」
「それすっごく素敵!コー、楽しみだね!アーシェ、起きて起きて!アーシェったら!」
寝させておけばいいのに強引に起こそうとしているラスをコハクは止めもせず、彫像の周囲をぐるりと一周して満足げに頷いた。