魔王と王女の物語③-Boy meets girl-【完】
数日後、庭でルゥを遊ばせていたコハクは、結界を抜けて戻って来た使い魔の鳥を腕に止まらせて嘴に耳を寄せた。
『すぐに馳せ参じます』
短い一言は、いつものオーディンらしく、あちこち移動してはひとつ所に居ることのないオーディンをよく見つけてきたなと使い魔の嘴を撫でて誉めてやると、動物の人だかりの中心に居るラスに声をかけた。
「チビー、オーディンとお師匠が戻って来っぞー」
「えっ!?オーディンさんとお師匠さんがっ?どうしてどうしてっ?嬉しいけどどうしてっ?」
緑の瞳を目一杯見開いて喜ぶラスを撫で回したくなったコハクは、ラスににじり寄って後ろ抱っこすると、嫉妬してぽかすか腕を叩いてくるルゥをラスの膝に乗っけた。
「まあちょっと相談してえことがあったんだけど。チビも会いたかったろ?」
「うんっ。ルゥちゃんをお披露目してないし、お腹の赤ちゃんのことも言わなきゃ。喜んでくれるよね?」
――ローズマリーに愛の告白をされたことは、ラスに話していない。
隠し事をするつもりではないのだが…ローズマリーの心情を思うときっとラスには知られたくないと思うだろう。
かつて執着をして肌を重ねたこともあるローズマリーに一片の優しさを持つコハクは、ごろんと寝転がってラスを腹に乗せると、絶叫。
「服着なきゃ良かった!」
「なに言ってるのコー。ねえ、いつ戻って来るの?すぐ?今日?明日?」
「さあな、どこに居るかわかんねえし、気長に待ってれば戻って来るだろ。またちょっと難しい話すると思うから、チビはグラースとかアーシェの傍に居ろよ」
「うん、わかった。コー、今日のお昼どうする?アーシェと私でパンケーキ焼こうと思うの。ルゥちゃんも食べるでしょ?」
「あいーっ」
「俺も食う!あ、デス用に大目に焼いといてくれよ。俺、イチゴと生クリームが沢山乗ったやつ希望!」
笑顔で頷いて立ち上がったラスと離れ難い動物たちが一斉に寂しそうな声を上げたが、手をひらひら振って城内に戻って行ったラスを見送ったコハクは、ドラちゃんの顔の手前に銀色の魔法陣が浮かんだのを見てむくりと起き上がる。
「よう、もう戻って来たのか」
「コハク様…おひさしぶりですね。お元気そうで」
「あったりめえだろ。…お師匠も久しぶり。元気だったか?」
「ええもちろん。…その子があなたとラス王女の?」
ローズマリーが微笑む。
コハクははにかんでルゥを抱っこすると、ローズマリーの腕に抱かせた。
『すぐに馳せ参じます』
短い一言は、いつものオーディンらしく、あちこち移動してはひとつ所に居ることのないオーディンをよく見つけてきたなと使い魔の嘴を撫でて誉めてやると、動物の人だかりの中心に居るラスに声をかけた。
「チビー、オーディンとお師匠が戻って来っぞー」
「えっ!?オーディンさんとお師匠さんがっ?どうしてどうしてっ?嬉しいけどどうしてっ?」
緑の瞳を目一杯見開いて喜ぶラスを撫で回したくなったコハクは、ラスににじり寄って後ろ抱っこすると、嫉妬してぽかすか腕を叩いてくるルゥをラスの膝に乗っけた。
「まあちょっと相談してえことがあったんだけど。チビも会いたかったろ?」
「うんっ。ルゥちゃんをお披露目してないし、お腹の赤ちゃんのことも言わなきゃ。喜んでくれるよね?」
――ローズマリーに愛の告白をされたことは、ラスに話していない。
隠し事をするつもりではないのだが…ローズマリーの心情を思うときっとラスには知られたくないと思うだろう。
かつて執着をして肌を重ねたこともあるローズマリーに一片の優しさを持つコハクは、ごろんと寝転がってラスを腹に乗せると、絶叫。
「服着なきゃ良かった!」
「なに言ってるのコー。ねえ、いつ戻って来るの?すぐ?今日?明日?」
「さあな、どこに居るかわかんねえし、気長に待ってれば戻って来るだろ。またちょっと難しい話すると思うから、チビはグラースとかアーシェの傍に居ろよ」
「うん、わかった。コー、今日のお昼どうする?アーシェと私でパンケーキ焼こうと思うの。ルゥちゃんも食べるでしょ?」
「あいーっ」
「俺も食う!あ、デス用に大目に焼いといてくれよ。俺、イチゴと生クリームが沢山乗ったやつ希望!」
笑顔で頷いて立ち上がったラスと離れ難い動物たちが一斉に寂しそうな声を上げたが、手をひらひら振って城内に戻って行ったラスを見送ったコハクは、ドラちゃんの顔の手前に銀色の魔法陣が浮かんだのを見てむくりと起き上がる。
「よう、もう戻って来たのか」
「コハク様…おひさしぶりですね。お元気そうで」
「あったりめえだろ。…お師匠も久しぶり。元気だったか?」
「ええもちろん。…その子があなたとラス王女の?」
ローズマリーが微笑む。
コハクははにかんでルゥを抱っこすると、ローズマリーの腕に抱かせた。